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「戦友よ、共に志を頂くと言うならば応えよ!」
すると百人の武兵団が声を張り上げた。
「島長官! 島長官! 島長官!」
張遼や典偉らも一緒になり何度も何度も繰り返す。やがてその場の皆が声を上げるようになった。剣を真横に振る。一人の部将らしき人物が進み出て来る。皆が口を閉ざした。
筋骨隆々とした恵まれた体躯、公證服務 顔つきは中原の者ではない気がした。
「俺は北瑠、兵団の部将をしている。兵団の多くは北狄と呼ばれる異民族の出だ、島介はそれでも皆を率いるつもりか」
まだ認めるつもりはないか、ほいほいと主を変えるのも考え物だからな。
「北狄か、確かに顔立ちが違うなとは思っていた。だがそれがどうした?」
「民族が違えば殺し合うのが常識だ。島介とてそうだろう」 兵らの多くは肌の色が微妙に薄かったりするのが混ざっている、異民族を引っ張ってきているのは事実だろう。こういうことは度々あるんだよ。
「俺の常識は世の非常識と同義でもある。最初の妻は越南、その次は別大陸、そして最後は西羌の出身だ。今となっては妻子共々この世には無いが、民族の違いなど些細なこと。大切なのは心であって見た目や過去ではなく、未来だ!」
このことは荀彧らにも話していない、何かしらの衝撃を与えたようだ。死んだのはニムだけで、他は死別したことはないがこの世には居ないぞ。
「むむ! 島長官、我等北狄騎兵二千、麾下に加わらせて貰う!」
「決して蔑ろにはしないが、死ねと命じることはある。それでもか」
「最高の死に場所を与えてくれるならば、それは戦士の誉れだ!」
胸に拳を当ててこれでもかと言い切った。なるほどこいつは確かに戦士だよ。
「よかろう、ならばその命あずかる。厳命する、俺が死ねと命じるまでは勝手に死ぬことは許さん! いかな窮地であっても、知恵と勇気と弛まぬ訓練で生き延びよ!」
「応!」
城内に高揚した声が木霊した。そういえば備蓄はどうなっているんだ?
「癒彫、ここの糧食、財貨はどうなっている」
下僕に持たせていた巻物を差し出してきたので受け取り、中を読み上げた。やはり結構な物量だよ。
「目録で御座います」
「うむ。倉にある財貨の半分を屋敷の住人に分け与え、その上で暇が欲しい奴は召し放ちをすると伝えよ」
「島介殿、これだけの財貨があればいかようにも出来ますが、分け与えると仰いますか」 何故、疑問を持っている表情がありありと解る。こいつだけではなく、周囲の奴らもまさかって顔になってる。
「俺の故郷では、親が死ねば子が相続をしたものだ。羽長官の財産を俺が相続したなら、半分は子である皆に分け与えるのがならわしになる。それに、従うつもりがないやつを縛る気はないんだ」
「畏まりまして。我が役目、それを以てしてお返し致します」
「典偉、癒彫の指示に従いお前が手配をしろ」
「へい、親分!」
やはりこいつは相手を選ばんか、使いやすいと感じたならそういうことだ。把握をするのに数日欲しいが、長々都をあけて良いものか。だが足元を固めるために来たんだ、ここは省きべきではないな!
◇
思ったよりも時間が掛かったが、これで地盤は固めることが出来たぞ。半月ぶりに都に戻って来ると、早速文聘が耳打ちをしてきた。幕僚らもほぼ全員が傍に集まっているぞ。
「明日の朝廷会議で重大な懸案事項が打ち立てられるのでは、との噂が流れているようです」
「噂ねぇ」
そういう何かを事前に流行らせる目的を考えるんだ。注意を引くとともに実際に可能かどうかの感触を確かめる、観測気球というやつじゃないか?
「我が君、もしや廃立の件ではないでしょうか」
それなんだよな、皇帝を廃するなんて嘘でも口になど出来ん。それを聞かれたら不敬罪とやらで即刻打ち首でも文句を言えん。だからこそ事前にどうだと言われても、軽々しく話題にすることも出来ない。婉曲に懸案事項としか出来んのかもな。
「だとしたら、どうなると見ている?」