[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
で、こくこくと頷きつつ、それを受け取る。
「おっと、この道具はいただいておくぞ。このあと、おぬしらにかわってわれらが村の衆にふるまうゆえ」
俊冬の言葉に、EGFR肺癌 間者たちはうなずくしかない。どっちにしても、あの腕前では、飴売りをつづけてもしょーがないだろう。だいいち、双子のいる半径100キロ以内に、とどまることすらできないであろうから。
「たま。腕は兎も角、長州勢は気前がいい。材料は、たんと準備しております」
逃げ去る間者たちの背をみ送っていると、俊春が道具をあらためてから告げる。
「鉄、銀。村の衆に、飴を馳走するとふれまわってくれ。無論、にもな」
「はい、たま先生」
二人の返事が、ツボに入ってしまう。
ぞくぞくと集まってくる人々。双子は、一人一人のリクエストにこたえ、つぎからつぎへと飴細工をこさえてゆく。
相棒にもつくってくれた。なんと、できあがったら相棒だった。
それを、相棒の眼前にかかげてみせる。
相棒は、鼻をひくひくさせつつ、頸を右に左に倒す。
「すっごく似てるよな、相棒。舐めても大丈夫なよう、ちいさめにつくってくれてる。なめるか?」
ふんっと、いつものようにツンツンだが、気にいっているのはわかる。が喰いついている。
「すぐにはもったいない?そっか。じゃぁ、もうしばらくしてからな」
そういいおいてから、懐紙にくるんでおく。
ちいさいが、がっしりしているので折れたり割れたりってことはないはず。軍服の胸ポケットにいれておくことにする。「おお、よかった。まだやってくれていたか?」
気がつけば、すっかり暗くなっている。他出していた局長や副長、島田や野村がやってきた。そのてきはじめて、だいぶんとが経っていることに気がついた。
それほど、双子の飴細工づくりに夢中になっていたというわけだ。
ニコニコ顔の局長のはずんだ声に、こちらまで笑みを浮かべてしまう。
みると、局長や副長だけではない。金子もいる。隊士のほとんどがここにいるので、金子が連れてきてくれたのだろう。
「すばらしい」
局長は、市村と田村に金魚と雉をみせられ、子どものようにを輝かせている。
「お好きなものを、おつくりします」
「ならば、関羽はどうかな?」
俊春に提案され、すぐにリクエストする局長。
大好きな「三国志演義」の関羽をリクエストするあたり、さすが局長といったところか。
それにしても、現代でこそ、漫画やアニメでその容貌をイメージできるが、この時代、草双紙などからどれだけイメージできるのだろう。
「承知いたしました」
そして、にっこり笑って快諾する俊春。すぐに、つくりはじめる。
その間に、俊冬が副長をさりげなくはなれたところへ連れてゆき、さきほどの間者の件を報告する。
こちらからみていても、副長のが、驚愕から苦笑へ、最終的には満足気なものへと変化してゆくのがわかる。
副長は、双子の対応に信を置いている。まぁ、「でこちんの助」と「でこぴん野郎」のくだりは別にして、生かしてかえしたというところは、それが妥当だと判断しているにちがいない。
しかも、手土産までもたせて・・・。
宝玉っぽいものを護る狼と龍の飴細工をみ、東征大総督府の補佐として下向している大村は、どう考え、どうかんじるであろう。
「副長は、なにがよろしいでしょうか。失礼いたしました。内藤副隊長、でしたな」
「ああ?内藤?自身でも忘れちまってるし、いまではすっかり副長に戻っちまってる。かまわねぇよ、副長で」
こちらへ戻ってきつつ、俊冬の言葉に副長が苦笑している。
そうだった。おれも、副長って呼んでしまっている。副長は、副長だ。内藤副隊長ってガラじゃない。
「そうだな。やはり、おれであろう?」
「承知いたしました。ならば、わたしが」
さすがは、ナルシスト。自分自身をモデルに飴細工をつくってくれ、なんて、フツーこっぱずかしくていえたもんじゃない。
副長なら、なにか商売をはじめたりマンションでもおっ建てたら、なんの迷いも抵抗もなく「土方歳三」と屋号やマンション名をつけるにちがいない。
「おおっ!これはすごい。これぞ関羽。いまにも動きだしそうだ」
うしろで、局長の歓喜の叫びと人々のどよめきがおこった。
局長だけではない。隊士や子どもたち、村人や金子も、飴細工の