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気付けば土方の腕の中にいた。
ぴったりと引っ付いた体から感じる温もりと懐かしい匂いが鼻をくすぐった。
『一人になった時土方さんの布団借りて寝たなぁ…。』
あの時はお陰で落ち着いたんだと懐かしみ,土方の着物をきゅっと握って頬を擦り寄せた。
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「おっ?」
ドンッと突き放された。
自分がどうなったか分からなくて,ただ目の前の土方の動作を目で追うしかなかった。
三津を軽く突き飛ばした土方は顔すらまともに向けず大股で立ち去ってしまった。
「えっ?何で?」
怒らせてしまったのかよく分からず首を傾げてその背中を見送った。
『予想外の動きするんじゃねぇよっ!!馬鹿がっ!!』
この動揺を全て三津のせいにしたかった。
思わず口にした本音,無意識に抱き留めた体。
"何するんですか!土方さんの助平!"
そう言って顔を真っ赤にして怒るのを予想していたのに。
だから応える様にしがみついてきた三津が悪い。
『あいつも俺の事を……。』
あいつ "も"。
『馬鹿か俺は…。完全に認めちまってんじゃねぇかよ……。』
三津に対する想い。
「捕まえたくなんだろうが,クソガキがっ!」
腕の中に閉じ込めた感覚を思い出しながら鼻で笑った。
屯所に戻るまでに少し冷静にならなきゃなと大きく息を吐いた。
屯所に帰って一番会いたくないのは総司。
「お帰りなさい!お出掛けなら一声かけてくれたら良かったのに~!私も行きたかったなぁ!!一緒に。」
一番会いたくない相手に満面の笑みで出迎えられた。
「誰がお前なんか連れてくか。呉服屋に行っても楽しかねぇだろお前は。」
「弥一さんの所へ行ってたんですか。ふーん。」
本当にそこだけですか?と土方の周りをちょこまかと回りながら疑いの眼差しを向けた。
その察しの良さには嫌気がさす。大股で部屋に戻ろうとする土方とつきまとう総司を,縁側で将棋をさしてた原田,永倉,藤堂が面白がって見ていた。
「弥一さんの所へ行ったなら聞きました?三津さんの縁談の話。」
「あ!?あいつそんな事一言も言わな…。」
時すでに遅し。目の奥が笑ってない笑顔がじっと見つめてくる。『しまった…。』
こんな単純な誘導に引っ掛かった自分が情けないが今はそんな事どうでもいい。
これ以上しつこく付きまとわれるのは御免だ。
「会ったんですね?三津さんに。いいなぁずるいなぁ。」
「えっ土方さんお三津に会いに行ったの!?」
それはずるいと藤堂が騒ぎ立てた。
「違うっ!帰り道にあいつが居ただけだ!」
会えるかもしれないと望みを持ってその帰り道をわざわざ変えたとは口が裂けても言えない。
あまりにも騒がしいから斎藤が自室から顔を覗かせた。
いいところに顔を出した。土方が見逃すはずはなく,ここぞとばかりに声を張り上げた。
「そういやぁ三津と初詣に行ったおめでたい奴がいるんだがなぁ。」
『げっ!』
斎藤は部屋から顔を出した事を心から後悔した。
土方の底意地の悪い笑みがそこにはあった。
「なんですって?」
総司の眉毛がつり上がる。そしてゆっくりと土方の視線を辿り斎藤の方を見た。斎藤の目線は明後日の方向へ向いた。
「斎藤さん…それは本当ですか?」
目の奥が笑ってない笑顔と向き合う事なく斎藤は黙って障子をぴしゃりと締めた。
「あ!斎藤さん!!」
総司が斎藤に気を取られてるうちに土方は部屋へ逃げ込んだ。
「お帰り,お三津ちゃんは元気そうだったかい?」
逃げ込んだのは近藤の部屋。
全部聞こえていたよと走らせていた筆を止めて土方に笑みを投げかけた。
「あぁ,あの馬鹿石段に腰掛けて居眠りしてやがった。」
それを聞いて近藤は豪快に笑った。
「それは良かったすっかり元の生活に戻れたようだ。
怖くて外も歩けなくなっていないか心配だったが大丈夫みたいだ。」
「隙だらけだクソガキが。長生きしねぇぞ。」
どっかり胡座をかいて壁に体を預けて目を閉じた。
廊下からは総司達の騒がしい声がしている。
「みんなお三津ちゃんが恋しいんだな。私も会いたいね。」
「局長命令なら連れてくるぜ。」
ニヤリと不敵な笑みを浮かべるが近藤はいやいやと穏やかに笑った。
『いっそ命令してくれればいいのによ。』
そうすれば堂々と三津をここへ連れ戻せる。
そしたら今度は離さないのに。