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itsuki85

大雑把に決めることは

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大雑把に決めることは

大雑把に決めることは決めた、後は日の出を待って実行に移すだけ。

 翌朝になり偵察が戻って来ると早速報告を行う。

 

「洛陽は静かで落ち着いていて、孫堅軍が城内に入り夜を明かすものと思われます。周囲に董卓軍の姿もありませんでした」

 

 深夜に洛陽北門を探っ 子宮環 てきたのを大急ぎで戻って報告しているので、現状きっとそうなのだろうと納得する。取り敢えずは目標は腹を空かせて城で待機、行き先を間違えることもないので昨夜に決めた内容で実行させる命令を下す。

 

 食糧を混載して凡そ千キログラム、馬一頭で四輪の平馬車は整地ならば千キログラムを曳くことが出来る。だがそれを鵜呑みに一台の馬車で動くのは愚か者のすることだ、荒れ地に急斜面、襲撃時に逃げることを考えれば、最低二台、出来れば三台で運用したい。 最悪どれか一台でも辿り着けば空腹を凌げるので、どういった手配をするかを黙って見ていると、張遼はなんと六台で編成した、それも四輪ではなく二輪馬車にして。

 

「ほう――」

 

 島介が発したのはこれだけ、さすが張遼と言ったところだろう。余裕があるのだからそうした、これならば歩兵では追いつくことすら出来ない。物資の損失は回復可能だ、人間のそれとは違う。

 

 騎兵二百、歩兵三百で孟津を出立する。一般の輸送隊ならばこのような護衛はつかないのが常で、精々馬車一台に十人かそこらだけ。孫策らもこの数には驚いていた、戦闘部隊の編成と変わらないから。

 

 かなりの速度で街道を南下、昼になるやや前あたりで遠くから駆けて来る騎兵が見えた。張遼の隊から十騎抜けて接触させると、孟津へ戻ろうとしていた偵察の第二報だという。

 

「洛陽に変わりは無いか」

 

 一応確認のためにそう訊ねたが、偵察兵は驚きの返答をした。

 

「今朝未明に洛陽城へ胡軫軍団が奇襲を仕掛けました。これにより孫堅軍は城外へ離脱しました!」

 

 自分が見たのはそこまでで、取り急ぎ報告に戻る最中ですと告げる。孫策は目を大きく開いてじっと偵察兵を見ていた。

 

「解った、お前は島将軍のところへ急げ。俺達は洛陽へ急ぐ」

 

 あべこべにやられてはいけないと、三方三里へ斥候を散らしつつ先を急ぐ。といっても歩兵の歩みだ、暫くは先のことになる。気が気ではない孫策、だが何とか自制をしようとしている姿が見て取れた。 夕方になり斥候が洛陽から南へと撤退していった孫堅軍を追っている胡軫軍団を見つけたと聞かされる。ここから必死に追いかけてどうにかなるわけでもない、昨夜荀彧が言っていたように自力で逃げてくれるのを祈るしかない。

 

 補給が目的だが補給先が消滅した今、張遼は本隊へ帰還するのが約束だ。

 

「孫策殿、残念だがもう洛陽へ行っても遅い、我等は孟津へ引き返すことにする。同道を選択するのを望むが」

 

 息子であるならばたとえ一騎であっても追いかけて戦いたい、そう考えてもおかしくはない。それだけの実力だって持っているだろうし、それを止める権利など無い。だが出来るだけ保護したいとの島介が望んでいるので尋ねた。

 

「若君、どうか、どうかご自重の程を」

 

 戦うと言うならば黄蓋は死ぬことになろうとも付き従う想いだ。だが今はその時ではない、未来の主君である孫策に判断を委ねた。

 

「……父上ならばきっと無事に退くと信じている。生きていればまた会える日が来る、悔しいが今は耐えよう」

 

「おお若君のご決断、公覆は感服致します」

 

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